低カリウム根菜の研究

秋田県立大学

人工透析患者は腎臓の排出機能が失われているため食事に大きな制限がかかります。なかでも野菜や果物の主要栄養素であるカリウムの摂取量は厳しく制限されています。

そういった方にも豊かな食生活を提供すべく、カリウム量を抑えた機能性野菜の開発を進めています。葉物野菜の低カリウム化に成功した秋田県立大学小川教授との共同研究により、低カリウム"根菜"の開発に取り組んでいます。

低カリウム根菜の栽培法の開発

  • 背景

    様々な野菜や果物の低カリウム化研究が進められていますが、根菜の低カリウム化はあまり進んでいませんでした。そこで、根菜を対象に、低カリウム化に取り組みました。

  • 方法

    養液栽培を採用しました。収穫前の一定期間カリウムを含まない養液に変更して栽培することで、野菜自体のカリウム含有量を低減させることを目指しました。

  • 結果

    実験の結果、通常の栽培方法と比較して、コカブでは約70%、ハツカダイコンでは約80%のカリウム低減に成功しました。

日本生物環境工学会(2019年松戸大会、2017年千葉大会、2016年金沢大会)
2023年「腎臓病透析患者に向けた水耕カブおよびハツカダイコンの低カリウム化」

野菜のカリウム含有量非破壊測定法の開発

  • 背景

    従来の野菜の成分測定は、搾汁や乾燥灰化などの破壊的な操作を伴うため、全数検査が困難でした。この課題を解決するため、カリウム含有量を非破壊で測定する方法の開発に取り組みました。

  • 方法

    可視・近赤外分光法を採用しました。野菜表面に光を照射して反射波長を分析することで、カリウム含有量を測定しました。

  • 結果

    実験の結果、根菜(カブ・ハツカダイコン)と葉菜(コマツナ・サンチュなど)のカリウム含有量を非破壊で測定できることが確認されました。野菜の無損失検査だけでなく、測定方法の簡易化や時間の短縮を実現します。

日本生物環境工学会(2023年豊橋大会、2022年福岡大会、2021年神戸大会)
2024年「Non-destructive Measurement of Potassium Content in Low-Potassium Radish and Turnip Using Visible Near-Infrared Spectroscopy」